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Matsuri
祭(不定期)

前回の祭

27/04/2004  「若手祭だワッショイ!」

車に乗るために免許が必要なことと同様に、私達のしている仕事は仕事をするために免許が必要です。そして、その仕事をするための免許は車のように日本イギリス間で互換性が無く、イギリスに赴任する日本人にとって、最初の関門がこの免許を取るための試験ということになります。4択問題が50問出るだけなのですが、英語で出題されることがかなりやっかいで困難なことで、専門用語を覚えたり、法律的な独特の言い回しを覚えるのがちょっと大変で、私も含め、ほとんどの人は幸いにも1回で受かっていますが、わたくしの近くに座っていらっしゃる方は1回落ちていたりします。

最近イギリスに来た若手クン(カナ陣営の若手と同じという憶測はさておき・・・)も、その最初の関門を突破しようと勉強に励んでおりました。今日の祭は、私を含めた会社の同僚男4人組の「祭りだワッショイ !」飲み会と、若手クンの試験お疲れ会が同時に行ってしまおうか?という愛と感動とドンペリの切ない物語であります。

赴任。

赴任の際、若手クンに「祭」の主役となる素質があることを誰も見抜くことは出来なかった。しかし、我々の懸命の対話の努力により、彼のスター性が徐々に明らかになっていった。そして、そのスター性とは「アイドル系」とか「ビジュアル系」といったものではなく、「切ない系」だったということが判明し、赴任直後からスターダムへの階段を駆け上っていくことになる。その階段のゴールがキングオブ切ない系であったとしても、それを若手クンは知らない。

エピソードを一つ二つ紹介しよう。
赴任直後の歓迎会、酔った場の中で、先輩の手が目のまわりに当たってしまい、KO負けを喫したボクサーのように青黒いあざができてしまったという文字通り「手荒い歓迎」の話。切なさは突出していた。
その歓迎会の帰りにタクシーで送ってもらった際にタクシーの運ちゃんをねぎらおうと、「I am appriciated...」と酔っ払いながら大きな声で間違った受動態を披露した話。切なさは突出していた。

そして、一回目の試験を迎える。このときもまだ「祭」の対象になるとはまったく思われていなかった。だって、だいたいの人は1回で受かるから。(わたくしの近くに座っていらっしゃる方は1回落ちていたりします。再掲スマソ)

一回目の試験。Failed(落第)。

やはり、「キングオブ切ない系」に一発合格は似合わない。スターとして、期待通りのことをやってのける。「あいつ、何やってんだ!!」というネガティブな意見もあったが、「こいつは並大抵の香具師(ヤシ)じゃない!」「大物の予感がするぞ!ある意味で。」といったスターダム希望論もこの試験の結果が出たことを機に盛り上がっていくこととなった。

このとき、彼は試験に受かったら車を買おうと画策しており、中古でかなりお買い得なアルファロメオを見つけていたらしいが、試験に落ちたときにその中古車は誰かに買われてしまっていたそうだ。あのアルファロメオ、誰かに買われちゃったんですよねー。」屈指の切なさを披露。

1回落ちることは良くあることで、ほとんどの人にとって英語で受ける初めての試験であることもあり、周囲もほほえましいムードがあった。しかし、当人にとっては早く試験勉強を終わらせたいという欲望と次こそは合格したいという希望が入り混じり、つらい時期であったに違いない。

背水の陣であると言う意識を持ったのか、二回目の合否結果発表が開示されるインターネットのサイトを受験IDとアクセスパスワード付きでワッショイ陣営に後悔、公開。異様に盛り上がるメールのやり取りがあった。

二回目の試験。Failed(落第)。

スターの座を確固たるものとするためには、この二度目の試験に落ちることが十分条件だった。そもそも、スター、それも、「キングオブ切ない系」になんてならなくてもいいんだが、彼はわざとか本気でか知らないが、やってくれた。
十分条件をクリアし、試験に落ちた若手クンは同じ部署の先輩(ワッショイ陣営)にこう言ったそうな。

「明日、妻が来るんですよね。」
ワールドクラスの切なさである。

ここで、試験を行っている団体のサイトの気になる条文が何者かの手によって発見された。その条文とは「Multiple Sitting(複数回の着席)」である。抜粋してみよう。

If the candidate is still unsuccessful at the third attempt, xxxxxxxxx will enforce a six-week break before allowing the candidate to re-sit the examination.

受験者が3回目の挑戦でいまだ成功していなかった場合(3回も落ちると)、当団体(xxxxxxxx)は受験者が試験の席に再び座るまでに6週間の期間を強いるでしょう。

さらに曰く、

After the enforced break, a candidate will be allowed up to three further attempts to pass the examination within the twelve months from when they first sat the examination. A maximum of six attempts will be allowed in any twelve-month period from the date of the first examination attempt in that subject.

強いた中断の後、受験者は最初に試験を受けたときから12ヶ月間に3回までの更なる挑戦を許すでしょう。最大6回の挑戦がいかなる12ヶ月間に許されるでしょう。。。。

というわけで、もし6回落ちてしまえば、仕事が1年間出来なくなってしまうので、歓迎会と送別会が一度に行われてしまうという前代未聞の出来事が起こる罠。また、3回落ちただけでも、6週間試験が受けられないとなると、これまでの6週間プラス6週間で12週間=3ヶ月も仕事が出来ないと言うわけで、これまた歓送迎会を自作自演してしまうという罠。

これはかなりのプレッシャーであり、ただでさえ小心者の雰囲気がぷんぷんと漂い、切ない系の香りががんがんに漂う若手クンにとって、人生最大の正念場であることは間違いないわけで、外野から見てこれほど他人事なのにエキサイティングな行事はいまだかつてなかった。

我々ワッショイ陣営は「祭」の企画に励むが、合格するか落第するかで大きくシナリオが変わってくるということ、若手クンの感情が合否でどう変わるのかが読めないこと、さらには、マネジメントディシジョンによって「祭」の開催それ自体が否定されるかもしれないことなど、複雑なファクターが絡み合い、変化対応業を謳う「ワッショイ陣営」にとってもその企画は難航を極めた。

その中で、我々は最短で三回目の試験の日に行うこと、受かっても落ちても胴上げすること、励ましてあげるかどうかは成り行き次第という三点を決定したのみであった。
そして、若手クンをうまくそそのかして今回も合否結果発表が開示されるインターネットのサイトを受験IDとアクセスパスワード付きでワッショイ陣営に後悔、公開させて、お祭モード絶頂で向かえた発表の午後4時。

三回目の試験。Pass(合格)。

おめでとう、つまんねーの。しかし、「キングオブ切ない系」の称号を得る寸前まで行った彼のこと、また「祭」の主役として活躍してくれる日が来るでしょう。その日を信じて我々ワッショイ陣営は今日も業務に励むのです・・・。(完)

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